聖フランチェスコが唱えたのは、
あらゆるものの本質、そして生きる喜びとは何かということです。
日本の彫刻家、安田侃の作品には、
フランチェスコに通じるものを見いだすことができます。
敢えていうならば、彼の作品は、
およそ芸術的創造性なるものの深淵を示しているのです。
それは象徴性であり、形であり、
ほとばしる力であり、それこそが生への讃歌に他なりません。

風:讃えられよ、主よ、
兄弟なる風と空気、
曇りや晴天、あらゆる天候のために。
あなたが創造物を支える仲立ちをする、
彼らのために。

水:讃えられよ、主よ、
姉妹なる水のために。
われわれをよく助ける、
慎み深く尊い、純粋なる彼女のために。

火:讃えられよ、主よ、
兄弟なる火のために。
夜を照らす、美しく陽気で、
強く逞しい彼のために。

地:讃えられよ、主よ、
姉妹であり母である大地のために。
色とりどりの花、草木、
様々な果物を生み出し滋養を与えわれわれを育てる彼女のために。
(フランチェスコ「太陽の歌」より)

聖フランチェスコの賛歌が思い起こさせるのは、
この世界を成す四つの要素です。
それらは成すこと、成す力、成せる生命の賜物であり、
また相対する男と女の結びつきにも似た、
風、水、火、地の融合です。
アッシジの聖者の融合と自由こそは、
今日においてなお、あらゆる人々の良心と自由のために捧げ、
献じられる啓示なのです。

丘の向うを高く仰ぎ見れば、
そこには歓喜に満ちたその根源が、
現実のものとして見えてきます。
安田侃は、彼がこの地の大理石に刻み込んだ純粋さそのものを通して、
我々をその根源に誘っているのです。

 

翔生 アッシジ「人生を愛することは、平和を作ることだ」展

翔生 アッシジ「人生を愛することは、平和を作ることだ」展

 

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