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写真:意心帰

アッシジ展によせて


聖フランチェスコが唱えたのは、あらゆるものの本質、そして生きる喜びとは何かということです。日本の彫刻家、安田侃の作品には、フランチェスコに通じるものを見いだすことができます。 敢えていうならば、彼の作品は、およそ芸術的創造性なるものの深淵を示しているのです。それは象徴性であり、形であり、ほとばしる力であり、それこそが生への讃歌に他なりません。

風:讃えられよ、主よ、兄弟なる風と空気、曇りや晴天、あらゆる天候のために。あなたが創造物を支える仲立ちをする、彼らのために。

水:讃えられよ、主よ、姉妹なる水のために。われわれをよく助ける、慎み深く尊い、純粋なる彼女のために。

火:讃えられよ、主よ、兄弟なる火のために。夜を照らす、美しく陽気で、強く逞しい彼のために。

地:讃えられよ、主よ、姉妹であり母である大地のために。色とりどりの花、草木、様々な果物を生み出し滋養を与えわれわれを育てる彼女のために。(フランチェスコ「太陽の歌」より)


聖フランチェスコの賛歌が思い起こさせるのは、この世界を成す四つの要素です。それらは成すこと、成す力、成せる生命の賜物であり、また相対する男と女の結びつきにも似た、風、水、火、地の融合です。 アッシジの聖者の融合と自由こそは、今日においてなお、あらゆる人々の良心と自由のために捧げ、献じられる啓示なのです。

丘の向うを高く仰ぎ見れば、そこには歓喜に満ちたその根源が、現実のものとして見えてきます。安田侃は、彼がこの地の大理石に刻み込んだ純粋さそのものを通して、我々をその根源に誘っているのです。


ヴィンチェンツォ・コーリ神父
アッシジ大修道院長

2006


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