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April, 2012

ケンブリッジ、フィッツウィリアム美術館『SCULPTURE PROMENADE 2012』展 紹介文

安田侃の作品は異なる世界間の出入り口を提示している―共有の社会的現実と個人的イマジネーションの世界の間、直線的な人工環境とオーガニックな自然の間、そして東洋と西洋の文化の間。


写真:Taormina

また、常に認識的チャレンジがある―作品は、私たちが現在認識していることと、今まさに感知しようとしていることの間の緊張に語りかける。彼が作品につけたタイトルが作品の意味合いに新たな局面を加える。 彼は度々象徴性に関わるフォルムを彫刻し、我々に視覚的意味論に拘っているのだろうかと思わせる。


数多い作品において彼は、扱う素材を言わば異なる媒体へ変えることによって、素材の慣例を広げている。 彼は原石の表面を持つものをブロンズ鋳造し、多々の感覚を通じて触れ、体験されることを確認するためにテクスチャーを加える。 特に子供たちが楽しめるようにと配慮する―そして大人にも童心の感嘆や驚嘆を促す。


天モクと天聖はここで述べる特徴の多くを示している。二つからなる作品は空間的に離れているが、ダイナミックな一対をなしている。 直線的な天聖(「パッセージ」)は、その先にある異なる世界への門、ドア、あるいは窓とも考えられる。 対する天モク(「陰と空」)は謎を投げかける―構成的構造、あるいはある種の象徴であるかもしれない。 またフォルムと空間のダイナミクスを扱い、反重力の緊張あふれる技巧―中央の棒はリンテル(古代建築にみられる2つの支柱の上に水平に渡されたブロック)から宙に浮いている―を用いた純粋な抽象作品とも考えられる。 これは安田の作品において度々興味を掻き立てる、言わば際限なき意義である。


Sculpture Promenade 2012


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